殺してと言われた。
思いっきり首を締めた。
顔が紫色に染まるのがよく見えた。
腕が限界で、離した。
彼女は泣きじゃくっていた。
「苦しい。」
「生きてるから、苦しい。」
「最後に旦那に電話をさせて。」
彼女の通話を待っている間、
枕の下に充電コードを忍ばせた。
これで楽にしてあげよう。
通話を終えた彼女が戻ってきて言った。
「やっぱり、まだ、死なない。」
いま彼女が何処で、何をしてるのかは、分からない。
あのとき殺せなかったことに、
未だ後悔がある。
でも、やっぱり、旦那と子供がいる人を殺すのは、だめだな。
※フィクションです。